子どもの命を守りたい

(2)夏休み中の事故を防ぐ

待ちに待った夏休み。期間中は、子どもたちの行動範囲が広がり、生活環境も変わる。それに伴い、交通事故の増加が懸念される。「ひろしま交通事故防止キャンペーン」は昨年から、学校や自治体による、子どもの事故を減らす取り組みやルールを紙面などで紹介してきた。ことし2回目のテーマは「夏休み中の事故を防ぐ」。夏に起きた交通事故の傾向を分析し、事故防止につなげる。
(迫佳恵)

自転車での出合い頭事故多発
親子で道路巡り チェックを

昨年、広島県で子ども(中学生以下)が巻き込まれた交通事故は484件。月別で見ると、最も多く事故が発生したのは7月の53件。1カ月あたり30~53件で推移している。広島県警交通企画課の佐賀剛管理官は「夏休みは開放感から、子どもが事故に巻き込まれやすい時期。生活環境が変わるので十分に注意が必要」と訴える。
 2010年から過去5年間の月別の合計で見ても、7月は335件で最も多かった。負傷者数は8月の621人が最も多く、次いで7月の606人。多くは、自動車に同乗した子どもが負傷するケース。夏休みは家族で車で出掛ける機会が多くなるからだ。運転中、子どもにむやみに話しかけられても気を取られない、チャイルドシートは正しく着用するなど、大人の注意が必要だ。
交差点に見立てた校内で、壁から出てくる歩行者を確認するために、自転車を降りてチェックする可部中の生徒

ほとんどは生活圏内

夏休みは、自転車で行動することが多くなる。信号が無い交差点での出合い頭事故が多発している。子どもは視野が狭く、興味を持ったものに集中して向かっていきやすい。佐賀管理官は「事故のほとんどは生活圏内での発生。親子で一緒に道路を巡り、どこが危険か、どうすれば安全か、見て聞いて体験させて子どもに教えてほしい」。
 同課によると、とくに自転車が路側帯を通行する際のルールが守られていないという。路側帯とは、歩道がない道路の端のことで、白線によって車道と分離された部分を指す。自転車は、軽車両なので左側通行だ。左側に路側帯があるときは通行できるが、白の2本線で示された歩行者用路側帯は通行できない。通行できない路側帯を通行すれば、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が課せられる場合もある。

交差点 必ず止まろう

夏休み中の交通安全意識を高めるため、可部中(広島市安佐北区)は22日、1年生を対象に自転車教室を開いた。安佐北署の川西紀夫警部補を招き、交通ルールや事故の恐ろしさを学んだ。見通しの悪い交差点で人が飛び出す状況、2人乗りや傘を差しながらの危険運転も体験。川西警部補は「交差点では必ず止まって。一瞬の油断で被害者にも加害者にもなる」との呼び掛けに、前田潤君(12)は「部活や遊びに行くとき、自転車に乗る機会が多くなるのでとくに気を付けたい」と気を引き締めた。重森雅穂校長は「気が緩みやすい夏休み。自分で行動を律するという自覚を持たせたい」と話していた。