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交通事故の原因研究

 自動車の死角や歩行者の飛び出し、信号無視…。交通事故の原因はさまざまだ。事故形態や運転手の心理から傾向や対策を考えることは、事故防止につながる。福山大(福山市)は昨年秋から、広島県警と事故多発地点の対策について共同研究を進めている。共同研究のメンバーの1人であり、長年、交通事故原因などの分析を続けている同大工学部の関根康史准教授(52)に聞いた。(迫佳恵)

交通事故の原因研究
福山大の関根康史准教授に聞く

運転席死角に潜む危険
ウインドー下に要注意

これまでの研究をもとに、多く見られる交通事故の傾向は。
 交通事故の衝突条件と人体被害の関係を分析し、事故防止策を探っている。運転手が用心しているつもりでも、死角によって歩行者などを見落として、事故になるケースが多い。(図1)運転席に座ったとき、ウインドーから下の外側部分は全て死角になる。車のピラー(柱)が作る死角にも要注意。ピラー越しに何もないと思い込んでいると、発進時や右左折時などに歩行者を見落とすこともあるので気を付けよう。
 また、自転車のマナーの悪さが目立つ。自転車の急な方向転換や飛び出しなど危険な運転が原因での事故が後を絶たない。そのような状況で車と衝突をした場合、自転車の過失割合が高くなる可能性がある。

発信前の確認が大切

運転手や歩行者が気を付けるべきことは。
 死角は、スポーツタイプ多目的車(suv)など車体が高くなるほど大きくなる。発信前には、車の外から周囲をよく見たり、運転席から前をのぞき込んだりして、きちんと確認するだけでも、事故予防になる。(図2)小さな子どもが親の運転する車にひかれてしまう事故も多い。死角が原因で、9歳以下の子どもが死亡した事故の加害者は、3人に1人が縁故者だった。また、縁故者事故の約7割は発進時に発生している。
 歩行者や自転車は、バスなどの大型車の近くには極力行かないこと。自分から見えているからといって、相手も自分が見えているとは限らない。「運転手は自分を見ていない」くらいの気持ちで行動してほしい。
 また、事故時のスピードが時速30キロを超えると、死亡重傷率は一気に高くなる。生活道路に設けられた、最高速度を30キロに制限する区域「ゾーン30」は必ず守ること。生活道路では、スピードを落として安全確認を徹底し、死角に潜む危険を予測して運転しよう。

県警との共同研究の内容は。
 事故多発地点で、事故の分析を行い、改善策を探る。福山大のドライビングシミュレーターを使って、県警の事故統計データをもとに実際の事故現場を再現。どういう経過、心理で事故が起こるのかを学生も参加して調査する。分析結果をもとに、資料を作り、現場の安全指導につなげたい。

相手への甘えは禁物

事故を減らすためには。
 自分がどういう行動をすれば、相手はどう動くかを予測する力を付けることが大事。子どもを運転席に載せて、見えないところを再確認させるなど、実際に体験させることが必要だ。
 一瞬の油断で、誰にでも起きてしまうのが交通事故。どこかに「相手が避けてくれる」などの甘えがあったり、用心しても事故を起こしたりしまうことがある。もし事故を起こしたら、必ず警察に連絡すること。被害者を救出するなど、被害を最小限にする努力も忘れないでほしい。

死角の怖ろしさや注意点を説明する関根准教授

関根康史(せきね・やすふみ) 1987年慶応大卒。2005年同大大学院理工学研究科博士課程単位修得満期退学、09年博士号(工学)取得。三菱自動車や交通事故総合分析センターで研究を続け、2015年から現職。自動車技術会会員、日本機械学会会員。


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